第22講 可積分関数のつくる空間

ほとんど至るところ等しい

「ほとんど至るところ等しい」という何やら怪しい言葉。almost everywhereの略。理論統計学とかの時にもちょっと出てきたりした。ほとんど至るところで成り立つ、とかそういう感じで。定義はこんな感じ。

測度空間上で定義された2つの可測関数f(x)とg(x)が、測度0の集合を除いて一致している時、fとgはほとんど至るところで等しいといいf=g a.e.と表わす。

復習もかねて、言葉の説明も入れておこうかな。この辺にも書いてあるけど、もう一回載せておくと、測度空間というのは、

集合X、Xの部分集合のつくるボレル集合体\mathcal{B}、および\mathcal{B}上の測度mが与えられた時、測度空間が与えられたと言う。そして、測度空間のことをX(\mathcal{B},m)のように表わす。

という感じで、集合とボレル集合体、そのボレル集合体上での測度の組のことを測度空間と言うっぽい。測度0についてはここにも書いたけど、

数直線上の集合Sが次の性質を持つとき、Sを測度0の集合と言う。

どんな小さい正数\epsilonを取っても、高々可算個の区間列I_1,\cdots,I_n,\cdotsを適当に選ぶと
(i)S \subset \cup^{\infty}_{n=1}I_n
(ii)\sum^{\infty}_{n=1}m(I_n) < \epsilon
とできる。測度0の集合をまた零集合とも言う。

I_nの和集合のsubsetで、Iの測度の加算無限個の和がいくらでも小さくできる、というようなものだった。思い出した。これで「ほとんど至るところ等しい」のパーツはそろってきた。

これからf = g a.e.,g=h a.e. \Rightarrow f=h a.e.が成立するらしい。明らか…なのか?

で、a.e.ならば、次のことも成り立つらしい。

fとgが積分確定な関数であって、f=g a.e.ならば任意の可測集合上E上で\int_E f(x)m(dx) = \int_E g(x)m(dx)

積分確定な関数があって、それらがa.e.ならば、積分した値も同じになるということだな。

可積分関数のつくる空間

積分の線形性が成立するよねーというお話し。可積分関数の定義についてはここに書いてある。+の部分と-の部分に分けた結果をそれぞれ積分した値が有限であれば可積分と言うようだ。

で、「X上の可積分関数全体Vはf,g \in V \Rightarrow \alpha f + \beta g \in V(\alpha,\beta \in R)という意味でR上のベクトル空間を作る」と書いてある。ベクトル空間とかそういう言葉が苦手なので、調べる→wikipedia:基底

線型空間(せんけいくうかん、linear space)あるいはベクトル空間(ベクトルくうかん、vector space)とは、和とスカラー倍の定義された集合(代数系)のことである。

つまり、スカラー倍と和の演算について閉じているということを言っているんだな。じゃあ難しい言葉を使わない(ry。

で、こっから先使うらしい可積分関数の性質が書いてあるなどする。

f(x)を可積分関数とし、可測集合E上である実数\mu,\nuによって\mu \leq |f(x)| \leq \nuが成り立つとする。このとき\mu m(E) \leq \int_E |f(x)| m(dx) \leq \nu m(E)となる。

積分する前に大小関係があったら、その大小関係は保存されるよっていうことか。\mu,\nuは実数だから、積分の外に出してやる。

fの'長さ'としての積分

f \in Vに対して||f|| = \int_X |f(x)|m(dx)とおいて、||f||をベクトルfの長さとして考える。すると、||f||の性質として以下の三つの性質が成立する。
(i)0 \leq ||f|| < \infty
(ii)||\alpha f|| = ||\alpha||||f||
(iii)||f+g|| \leq ||f||+||g||
へー、っていうところなんだけど、問題が発生するらしい。||f||=0でもf=0と結論付けれないのが問題らしい。どう問題だと言うのだ。直感的に長さが0なら元も0であって欲しいという願望か。

で、所得の例とかが並ぶわけだけど、かえって分からなくなりそうなので、適当に飛ばすことにする。

同値類の導入

で、集合とか位相の付近で出てきそうな同値類というものが登場する。ここで考えるのは、可積分関数全体の作るベクトル空間Vについての同値類というものを考えている。「ほとんど至るところ等しい」というものがあったわけだけど、そういうものに対して、同値類を考えるらしい。wikipedia:同値関係について復習しておくと、こんな感じ。集合というかむしろ論理学の付近で登場したところか。

  • 反射律
  • 対称律
  • 推移律

で、これについて可積分関数全体のつくるベクトル空間について考えてやる。するとこうなる。
 f = f a.e.
f = g a.e. \Rightarrow g=f a.e.
f=g a.e.,g=h a.e. \Rightarrow f=h a.e.
こういうのを考えると、fとほとんど至るところで等しい関数の集まりを考えることができて、それを同値類[f]を考えることができる。で、そんな同値類[f][f] = \{g | g \in V,g=f a.e.\}とも書ける。日本語で書いておくと、gは可積分関数全体のつくるベクトル空間Vの要素であり、fとほとんど至るところ等しいというようなものである、ってことになる。

可積分関数全体のつくるベクトル空間Vというのは、この同値類によって分割される。と書いてあるもののいまいち分かってなかったりする。イメージがよくつかめないよねー。

とりあえず先に進むとこの分割された空間のことをL^1(X)と表わすらしい。やっぱりいまいちイメージがよくつかめな(ry。

同値類の積分

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