近傍と開集合/ローカルな概念とグローバルな概念

前の章では開円盤の定義が与えられていた。「pから距離がrより小さい点全部の集合」というのをB_r(p)で表わした。p12付近では、前章で定義したような離散距離空間を考えてやると、"周り"という概念が拡張されてしまう感じになってしまう、ということが書いてあった。

近傍系の公理

とりあえずまず距離の色々な定義の仕方が書いてある。距離の公理さえ満たすならば、色んなものを距離として考えていいよ!!

で、そんな色んな距離を考えることができるんだけど、pの近傍となる集合は変わらない。「距離空間としては別の構造を与える2つの距離がまったく同じ近傍系を決める、すなわり、位相空間としては同じものを決める。」とある。ここが本質か。つまり、距離というものが具体的*1にどういうものか考えなくてもよい、それが位相空間。距離というものが抽象化されてしまったということだ。

そして、そんな集合X上の各点pに対して近傍全体の集合*2\mathfrak{U}(p)と表わした時に、次の4つの条件を満たすならばXを位相空間と読んで、それを\mathfrak{U}(p) \, (p \in X)の全体を近傍系と呼ぶ。

  1. U \in \mathfrak{U}(p) \Rightarrow p \in U
  2. U \in \mathfrak{U}(p), U \subset V \Rightarrow V \in \mathfrak{U}(p)
  3. U,V \in \mathfrak{U}(p) \Rightarrow U \cap V \in \mathfrak{U}(p)
  4. \forall U \in \mathfrak{U}(p), \exists U' \in \mathfrak{U}(p) ; \forall q,q \in U' \Rightarrow U \in \mathfrak{U}(p)

本にも書いてある通り、「\mathfrak{U}(p)」は「Uがpの近傍である」と読めれば最初の3つはよいと思う。最後のところもP16にある通り「任意のpの近傍Uに対して、pの近傍U'がある。どういうU'かと言えば、q \in U'ならばUがqの近傍であるようなものである」と考えればよい。明かに開集合の匂いがしているのでここではまだ立ち入らないほうが懸命かもしれないな。

開集合

ということで開集合。開集合は近傍のグルーバルな概念であるとか書いてある。位相空間Xの部分集合Uが次の条件を満たすとき、開集合という。
\forall p \in U,U \in \mathfrak{U}(p)
そして、集合論を勉強していた時にも示した開集合の基本的な3つの性質が書いてあった(p20)。

開集合による位相空間の定義

この本では「近傍系→開集合」という流れだが、逆に「開集合→近傍系」という流れでもいけるよね、ということでそっちの流れでも書いてある。こういう感じで対応関係が書いてあるのはいいですね。

*1:公理は決まっているけど

*2:集合の集合になっているよね