集合位相入門読書会第二回

id:witchmakersと。今回はP20くらいからP32まで進んだ。"対応"と"写像"がキーポイント。

対応の概念

P23の定義より。

A、Bを2つの集合とし、ある規則\Gammaによって、Aの各元aに対してそれぞれ1つずつBの部分集合\Gamma(a)が定められているとする。そのとき、その規則\GammaのことをAからBへの対応といい、Aの元aに対して定まるBの部分集合\Gamma(a)\Gammaによるaの像という。

解析で言うところの関数と結構ややこしい。解析で言うところの関数はあとで出てくる写像なんだけど、対応は微妙に違う。プログラミングで言うところの戻り値が元ではなく、部分集合であることに注意をしなければならない。

id:witchmakersが考えてくれた例。有権者={1,2,3,4,5} 、候補者={a,b,c}とする。すると対応として\Gamma(1)=\{a\}\Gamma(2)=\{b\}\Gamma(3)=\{a,c\}\Gamma(4)=\{\phi\}\Gamma(5)=\{a,b,c\}のようなものを考えることができる。部分集合が返ってきていることに注意。

P24にはこんな図がある。図は超適当なんだけど、ある元aに対して、部分集合が返ってきている様子を図で表わしたもの。

一方、(後述する)写像を図に表わすとこういう感じ(P29)。Aのある元aに対して、Bのある元bを返している。\Gamma(a)はBのただ一つの元からなる集合である(つまり一点みたいなもん)となることが上の場合と対象的であることに注意しよう。

グラフについて

G(\Gamma) = \{(a,b). | a \in A, b \in \Gamma(a)\}みたいなのがグラフで、対応とそのグラフは一意に決められるとあった。なんか複雑なもので、「一意に決まるんなら対応だけあれば、グラフとかいらなくね?」と思ったんだけど、さっきの有権者とかの例だとグラフを使えばG(\Gamma) = \{(1,a), (2,b), (3,a), (3,c), (5,a), (5,b), (5,c)\}という感じで非常に簡潔に書ける。G(\Gamma)とあって、\Gamma出てこなくね?と思ったんだけど、分かった。\Gammaは規則を与えるというところだけ残して、Gの中では無名関数になってしまっているのだ。そういうことだったのか。

写像

P27の定義より。AからBへの対応\Gammaは次の性質を持つ時、特にAからBへの写像と呼ばれる。

Aの任意の元aに対して、\Gamma(a)はBのただ一つの元からなる集合である。

何回も言ってるけど、引数に元で戻り値も元なのが写像。この辺のところが次の付近にきいてくる。

写像に関する諸概念(写像による像および原像)

この辺で結構ややこしい操作とかが出てくる。

AからBへの一つの写像fが与えられたとする。PをAの任意の部分集合とするとき、Pを元aのfによる像f(a)を全部あつめてできる集合、より正確に言えば、f(a)=bとなるPの元aが(少なくとも一つ)存在するようなBの元b全体からなる集合を、fによるPの像といい、f(P)で表わす。すなわちf(P) = \{b | \exists a \in P (f(a) = b)\}

何がややこしくなってきたかと言うと、「あれ、写像って(プログラム的な意味での)引数に元を持ってくるやつで、部分集合とかよかったっけ?」という疑問。それまでは対応に制限をかけたものが写像、すなわち「写像 \subset 対応」だと思っていたのに、逆?みたいなことになっていたのだった。

例を考えるとAを実数の集合Rとしておいて、その部分集合P=[0,1]のようなものを考える(閉区間)。それに対して、写像f(x)=x^2というものを考えた場合、f(P)=[0,1]ということで、戻り値も集合?みたいなことになっていた。

で、分けが分からなくなっていたんだけど、@Misho先生に助けてもらってたら分かってきた。集合の集合を考えたような時なら閉区間も元のようなものとして扱えるじゃないかということに気がついた。

そういうわけで、「写像 \subset 対応」というのはくずれずにすみそうであった。

で、P31の定義3の(4.5)付近が結構直感的じゃなかったので、簡単な例で遊んでみることにした。以後、f(x)=x^2としておく。

P=[0,1]とすると、f(P)=[0,1]で、f^{-1}(f(P))=[-1,1]となってしまう。

Q=[0,1]とすると、f^{-1}(Q)=[-1,1]で、f(f^{-1}(Q))=[0,1]となる。結果が対照的じゃないのも結構面白いなー。