集合位相入門読書会第六回【集合の濃度】

P58からP71までと結構進んだ。前回は商集合の僕の理解があれすぎたので、あんまり進めなかったんだけど、別途復習の時間を取って再挑戦しました。復習のはここ。

商集合はとりあえずよしということで、写像の分解から。

写像の分解

fを集合Aから集合Bへの写像とすると3つの写像を使って分解できるという話のところ。fは任意の写像だから、どんな写像もこういう風に分解できるんだよね、ということで結構すごそうなものだな。代数系の理論できわめて有用である、と書いてあるんだけど、いい例が分からなかった。

集合の対等

第二章に入りましたよっと。集合AからBへの全単射が存在する時にBはAと対等である、というらしい。定理があるんだけど、これって同値関係の3つの性質言ってるよね、とかっていう話をしていたら、案の定P65とかで書いてあった。集合AからBへの全単射が存在する時、その逆像はBからAへの全単射であるという性質が使われていた。P34の定理4。

写像f\:A \rightarrow Bの逆対応f^{-1}\:B \rightarrow Aが写像となるための必要十分条件は、fがAからBへの全単射であることである。またその時、f^{-1}はBからAへの全単射となる。

単射とか全射って何に使われるかよく分かっていなかったけど、集合の濃度の話では大車輪の活躍を見せているようだった。そういうわけで全射とかの性質も復習しとかないとだなあ。

で、例が5つくらい出てくる。有限集合においては真部分集合と対等にはならないとか、実数の任意の開区間は実数全体の集合Rと対等であるとか。後半はすごい大事なやつですよね。閉区間についても対等であると言えるんだけど、まともに示すのは難しい。だけど、これは後で証明されてた(P64からP65にかけて)。

集合同士の対等っていうのはある意味ゆるい視点で同じと見ることなんだなあということが実感してこれた。

Bernsteinの定理

ベルンシュタインと読めなかったことは秘密(ry。上に書いたように集合同士が対等であるということを示すには全単射を構成してみせればよいわけだけど、違った形でもできるよ、というのがこの定理。

AからBへの単射が存在し、BからAへの単射も存在すれば、AとBは対等である。

全単射である、ではなく単射であればいいんだけど両方向から示さないといけなくなっったわけですね。分かります。で、これがまた等価な形で言い変えられるんだけど、「集合Xから集合Yへの単射が存在することと、YからXへの全射が存在することは同等であるから」というのがある。実はこれは前に出てきている。その時は何がうれしいのか分かっていなかったけど、こういう所で使われているんだなー。なるほど。

ここで定理7というのがよく分からなかった。正確に言えば、どういう風役に立つのかが想像できなかったと言えばいいのかな。

この定理7はP49の系「A、Bを2つの集合とするとき、AからBへの単射が存在する必要十分条件は、BからAへの全射が存在することである」を証明するためにあるのなあ、という感じで理解したんだけど、この系が証明できると何がうれしいかやっぱり分からなかった。

集合位相入門読書会第五回 - yasuhisa's blog

これを使うとベルンシュタインの定理の様々なばバージョンができて使い勝手がよさそうな形になってくれそうだ。変形されたものの一つにこんなのもある。もはやについてすらいないんだが。

A、Bを2つの集合とし、Aと対等であるようなBの部分集合B_1およびBと対等であるようなAの部分集合A_1が存在する、と仮定する。そのとき、AとBは対等である。

で、補集合を作っていく操作fとかgとかがあって、部分集合族に対して和集合を取っていったりしていた。何をしているかよく分からなかったので、具体的にやってみたんだけどやっぱりよく分からなかった。それでも分かったことがあって、\cup_{n=1}^{\infty}A_nは必ずしもAとはならないようだということが分かってきた*1。そういうわけで、A-A_{*}という操作は意味がありそうだ、ということが分かってはきた。で、証明はごにょごにょと続いていくんだけど、これを使うと実数の任意の閉区間がRと対等である、ということが示せる。半開区間でもいけるのかなーとか思ったけど、証明はやってない。

濃度の概念

この辺からすっとばしまくって読んで(ry。対等というのは同値関係だよね、という話から。Aの濃度のことを\mbox{card}Aと書く。\aleph_0とかが出てきた。

濃度の大小

P69の注意があやしげな感じだった。大小関係は思っているほど自明ではないのかね。

加算集合

「任意の無限集合は、必ず可算集合を部分集合として含む」という定理がP71にあるんだけど、直感的な証明の裏には選出公理がひそんでいた。これを厳密にやるために、「写像\Phiは、\mathfrak{M}を添字集合とする一つの集合族として考えられる」というのがあったのだが、ここがよく分からない。写像が集合族、と言われているのがなんだかなという感じだった。

が、Twitterでなんか変なことをつぶやいていたことを思い出した。関数型言語とかって、関数を値として持っておける。関数は無限の点の代表のことと考えれば関数はある意味無限集合だ。上の例だと関数の引数に集合を取るようなものだから、写像は集合族ということになる。となんか直感的な感じっぽい解釈を思いついたんだけど、あってるかとか全然分からない。でも、あってそうな気はするな。

*1:証明はしてない。感覚的に