第17講 可測関数

連続関数から可測関数へ

リーマン積分の基本にあったのは、"連続関数"という概念。連続関数の積分をどう定義して、どう求めるか、というところにリーマン積分の基本がある。一方で、ルベーグ積分は、可測関数に対する積分論であるらしい。なので、リーマン積分の時に連続関数がどういうものかを調べたのと同様に、ルベーグ積分やるんだから、可測関数の性質も調べておこうぜ!っていうのがこの講の目的のようだ。

で、可測関数というのは、R^k上の関数に対してだけではなく、もっと一般的なものに対してであるようだ。一般の集合X上の関数に対しても、もしXの部分集合の作るボレル集合体があらかじめ与えられていたら、それによって、可測関数の概念というのが定義されるらしい。

ちょっと、復習しておくとボレル集合体というのは、(可測である)開集合や閉集合の和集合や積集合を有限回繰り返してできる集合体のことだった。P90とかこの辺にまとめてあるので見てみるとよい。

可測関数

この講だと集合XとXの部分集合の作るボレル集合体\mathcal{B}が一つ与えられているところから出発するらしい。そんなこんなで可測関数の定義が与えられていた。こんなの。

X上で定義された実数値f(x)が、任意の実数\alpha,\beta(\alpha<\beta)に対して\{x|\alpha \leq f(x) < \beta\} \in \mathcal{B}を満たすとき、fを可測という。

ええっと、日本語で書きなおしたほうがいいかな。f(x)が(\alpha,\beta]に入っているようなxがボレル集合の要素である時に、その関数fを可測というということらしい。逆関数で定義したほうがしっくりくる感じがする。で、僕が考えるようなことなので、すでに書いてあって、可測の定義はf^{-1}([\alpha,\beta) \in \mathcal{B}と表わしてもよい、と書いてあった。

で、P128の上のほうに二つ性質が示してあって、それを日本語で書いておくと
(i)区間の端のどっちかが±∞に行ってもよい
(ii)開区間とか閉区間はある程度どうでもよい(違
という感じらしい。証明は本に載ってる。

R^1の開集合と閉集合の逆像

題名がすでに意味不明になりつつ(ry。とりあえず書いてあることを見てみる。fを可測な関数とする。このとき
(i)R^1の任意の開集合Oに対してf^{-1}(O) \in \mathcal{B}
(ii)R^1の任意の閉集合Fに対してf^{-1}(O) \in \mathcal{B}
ん?これ何を言ってるんだ?え、あ?開集合も閉集合もボレル集合だったから、当たり前じゃないのか??なんかボレル集合がボレル集合である、と言っているようにしか見えない。

ええっと、理解できそうな気がしないので、可測関数のところにも逆関数が使われてたので、それを利用して理解の助けにすることとしよう。可測関数のところの逆関数を使わないほうの定義としては、こんな感じで書かれていた。もう一度再掲。

X上で定義された実数値f(x)が、任意の実数\alpha,\beta(\alpha<\beta)に対して\{x|\alpha \leq f(x) < \beta\} \in \mathcal{B}を満たすとき、fを可測という。

で、同じことをf^{-1}([\alpha,\beta) \in \mathcal{B}のようにも書けていたんだった。これを利用して、開集合の逆像とかを書きくだしてみる作業をやってみよう。任意の実数\alpha,\beta(\alpha<\beta)に対する開区間(\alpha,\beta)があって、これをOとでもしておこう。で、f(x)がこの開区間に入るようなxが(\{x | \alpha < f(x) < \beta\})、ボレル集合体\mathcal{B}に入っている、ということらしい(ボレル集合体の要素、つまりボレル集合であるということ)。あれ、また開区間がボレル集合に入っているということを言っているような気がするわ。。。

ああ、分かった!!ボレル集合がボレル集合である、みたいなことは言っているんだけど、「何の」っていうところが違うってことだわー。確かに、開区間(\alpha,\beta)Oっていうのはボレル集合になっている。でも、これが差している先は可測関数の"値域"のほう。で、ここでの定理というか性質っぽいことが言っていることは、"値域"がなんかの開区間に入っている時、その"定義域"もボレル集合に入っているんだよ、ということを言っている。なるほどー。

つまり、「"値域"のほうのほうが開区間 or 閉区間のどっちかに入っていれば、その"定義域"はボレル集合体の要素である」ということを言っているようだ。で、"値域"のほうを開区間や閉区間に限らず、開区間や閉区間の和集合だとか積集合を取る操作を取ったもの、つまり

  • 積集合を取った集合がいくつかあって、その和集合を考えるもの
  • 和集合を取った集合がいくつかあって、その積集合を考えるもの

というもの(つまりボレル集合)にすると、"定義域"のほうもボレル集合になっているということが書かれている。おー、これはすごい。

それをちゃんと書くとP129にある通り、「R^1の任意のボレル集合Bに対して、f^{-1}(B) \in \mathcal{B}」となる(Bの字が微妙に違うことに注意しておこう)。

やっぱり、数学の定理っていうのは無駄な情報を削ぎ落して、すっごいシンプルに書かれているから理解するときには自分なりに肉付けしてあげないと理解ができない時があるなー。

R^lの開集合の逆像

んーと、さっきのは一次元での話だったんだけど、今度はl次元の話に飛ぶらしい。で、"値域"と"定義域"のどっちがl次元に飛ぶのかよく分かってないんだけど。。。で、補助的な命題が書いてある(P129)。

f_1,f_2,\cdots,f_lをX上の可測関数とし、OをR^lの開集合とする。この時、\{x|(f_1(x),f_2(x),\cdots,f_l(x)) \in O\} \in \mathcal{B}が成立する。

ええっと、どうやら"値域"と"定義域"のどっちがl次元っていう話ではなさそうだ。l個のX上の可測関数があって、それらのl個の値域を集めてきた集合が開集合であるようなxはボレル集合体の要素である、ということを言っている。二回も\inが出てくるからややこしいけど、そう難しいことでもなさそうだ。関数のもとになっているxはl個それぞれで共通というところに注意がちょっと必要かな。

可測関数の和と積

証明はいいとして(おい)言っていることはここは簡単。f(x)、g(x)がX上で可測な関数であるとき、af(x)+bg(x)とか積とか絶対値を取ったもの、もまた可測な関数になっているんだよってこと。なんか連続な関数の時にも似たようなことをやってましたね。

可測関数列

今度は可測関数の関数列というものを考えるらしい。関数列ってなんだろうとかそういう理解なんだけど、まあいいや。

\{f_1,f_2,\cdots,f_n,\cdots\}をX上の可測な関数列とすると\sup f_n(x),\inf f_n(x)も可測な関数となる。

ということが書いてある。集合列というのはなんかxがあって、それ上での何か色んな関数を列として持ってるやつなんだな(意味不明)。で、その(関数列に対しての?)上限や下限を考えてもそれは可測になっているということを言っているらしい。